9.21 奴との戦い(画像はありません)
こんにちは。
今日は夢のない話をします。
画像は一枚もありませんが表現がグロテスクかもしれません。ご注意ください。
時は9月21日金曜日。アルバイトを終え、アパートに帰宅したのが22:30。
今日のアルバイトは激務だったし……夜食食べちゃお!……と、菓子パンを食べていました。
すると……。
何やら本棚のところから、「カサッ……」という音がしたのです。
そう、「カサッ……」と。
エアコンの風でビニール袋か何かが揺れたのかな?と思いましたが、エアコンは運転していませんでした。
…………?
私は、その音がした方角を見てみました。
なにやら黒い影が見えます。
その時はコンタクトも眼鏡もしていなかったのでよくわからず、「幻覚かな?」と思っていたのですが、
「カサッ……カサッ……」
その音とともに、"奴"は私の前に姿を見せました。
私は普段から冷静沈着なのですが、"奴"のサイズが比較的大きく、つい変な声で叫んでしまいました。
近所の皆さん、ごめんなさい。
そのまますぐ殺虫剤を撒けば良いものを、取り乱した私はとりあえず風呂場に逃げ込みドアを閉めました。
そして風呂場のドアの隙間から、奴を監視。
どうすれば良いのかわかりませんでした。
奴を殺害したところでその後どう処理すれば良いんだ?そもそも殺虫剤は残りが少ない。果たして倒せるのか??というか、大きい。無理。無理オブ無理。
偶然手にスマートフォンを持っていたので、実家に電話をかけました。金曜日の夜中に実家、しかも固定電話に電話をする迷惑な娘です。
運良く母がすぐに出てくれました。
私:母よ、聴いてほしい。奴がついに現れた。どうすれば良い?
母:殺虫剤を撒け。
でしょうね。
私は怖かったので、震える声で般若心経を唱えながら、殺虫剤を撒きました。
電話越しに私の般若心経を聞いていた母の心境は、いかがなものだったのでしょうね。
撒きました。
奴も生き物です。
逃げ回ります。
そう、あの不快な動きで壁を這い回ります。
私:仏説摩訶般若波ァ゛ァ゛ーーー!!!無理!!!!!苦行すぎる!!!!!
母:頑張って!!!!!!
奴:カサカサ!!!!!!!!!!
これの繰り返しでした。
しばらくすると、奴は床に降りてきて、床に置いてあったビニール袋の下に潜り込みました。
般若心経も終盤に近づき、この戦いも終わる。そう安堵する私。
奴が潜り込んでからしばらく経って、カサカサ音もなくなりました。
よし。殺った。
勝った。
ということは、次は、奴の遺体を片付けるという苦行に入ります。
無理。
私:この先の人生、たくさんいろいろな困難に出会うと思う。だが、今この瞬間よりも大変な状況はきっと訪れないだろう。
母:いいから早く片付けなさい。
はい。
大丈夫、トイレットペーパーを鬼のように用意して、めちゃくちゃ厚くして、心を無にして掴んでトイレに流せば良い。
5万回くらいシミュレーションをし、いざ、ビニール袋をめくります。
頑張れ、私。
ビニールを勢い良くどかしました。
奴はそこに、
いませんでした。
笑うしかありませんでした。
時計の針は0:00過ぎを指しています。
なぜだ。
ビニール袋の下に潜ってから、私は瞬きもせずずっと見守っていました。奴は動きを見せなかったはず。
では、どこへ?
もはや開き直った私はあちこち探し回りました。本棚の裏、冷蔵庫の下、ロフトに置いてあった服、リュックサックの中、風呂場、全て見ました。
いません。
私:母よ、奴が蒸発したようだ。どこにもいない。
母:床の隙間とかから逃げたんじゃない?
私:ということはこの部屋にはもういないということですか?
母:おそらく。
そうか。床の隙間から逃げたのならば納得がいく。私の前に姿を現さずとも逃げることができる。
ふと、時計を見ると午前3:30。かなり長時間奴を探していたようです。
ちなみに7時間半後には、とあるオーディションのリハーサルが始まります。寝なければなりません。
一応奴の歩いた場所を雑巾で拭き、私は、安心と不安が入り交じった、非常に揺らいだ感情のまま眠りにつきました。この際お風呂は翌朝に回します。
朝、6:00に起床。
起きた直後は、昨晩の戦争のことは忘れていましたが、床に置きっぱなしの殺虫剤を見て全てを思い出しました。
まぁ良い。奴は床の隙間からどこかへ逃げたんだ。この部屋にはもういない。もう安心できる。
朝風呂に入り、洗濯をし、朝ごはんを食べ、身支度をして、オーディションのリハーサルの準備をして、さて出かけようと靴を履きました。
あ、そういえば靴ずれを起こしていたんだった。絆創膏を貼らなければ。
本棚の一番下の段に置いてある、絆創膏の箱の入った袋を取り出します。
私は気づいていませんでした。
その袋は、
昨 晩 、 唯 一 、 確 認 し 忘 れ た も の だ っ た こ と に 。
もうおわかりですね。
その袋に、奴はいました。
完全に油断していたので、hihiDくらいの高音で叫び、袋を投げ飛ばし、自分はというと2mほど後ろに飛びました。(この時ひじを打ってあざができました)
出かける寸前だったので、恐怖より怒りのほうが勝っていましたね。
もうすでに奴は虫の息だったため、急いで残りの殺虫剤と食器用洗剤とついでにお風呂用洗剤を撒きました。
偶然近くにあった古い雑誌とビニール袋とを上手く使い、奴の感触を感じることなくゴミ収集場所まで持っていけました。
これにて本当に終戦しました。
気が気でない私は、リハーサルを終えたあとすぐにドラックストアーに行き、バルサン(霧タイプ)と強力な殺虫剤とブラックキャップ(ホウ酸団子)を買いました。
そして部屋を大掃除し、ブラックキャップを設置し、バルサンを焚きました。
数日後にはハッカ油を購入し、虫除けに効果的と言われるハッカ油スプレーを作って、毎日これでもかというくらい撒き散らしています。
また、流し台やお風呂場、できる限り水気をとって、生ゴミはきちんと袋に入れ固く口を縛るようにしています。
あの日以来、奴の姿は見ていません。
かなり対策をしたので多分もう大丈夫だと思うのですが、毎日緊張感とともに生きています。
先日朝起きたら、ドアのところに奴がいた気がして覚悟を決めたのですが、普通にドアノブでした。
それくらいの緊張があります。
教訓として言えることは二つ。
奴を見つけたら、ご臨終の瞬間まで絶対に見届けること。いなくなった、と思ってはいけません。
そして、部屋を清潔に保つこと。ただし自分の家だけ綺麗にしていても、隣の家が清潔でなければ、隣からやってくる可能性もあります。
だからここでホウ酸団子や忌避剤が必要になるのです。
夢のない話で申し訳ございませんでした。
次回は夢のある日帰り旅行記を書きます。